読んだあと元気になれる本
このところ、はまっている作家さんがいます。
近藤史恵さんです。
この夏、初めて近藤さんの作品に偶然出会ったのですが、これが、なんかいい。
なんかいい、というのは、読後、なんとなく気持ちが癒されているというか明日もがんばろう、という「元気」な気持ちにしてくれるのです。
【近藤史恵(こんどうふみえ)】
1993年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
2008年には『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞され、これまで数多くの作品を発表されています。
ミステリーにとどまらず、恋愛やスポーツなどを扱った小説もたくさん執筆されています。
私はもともとミステリーが好きで、何年も前は色々なジャンルをよく読んでいました。
けれど、ここ数年は子育て中心の生活になり、なかなか小説を読む気力が持てず、読んでも育児に関連する啓蒙書的なものばかりを手にしていました。
そんな私に、また小説の楽しさと読書の喜びを感じさせてくれたのが近藤史恵さんなんです。
近藤さんは、女性の心理というか心中を描くのがとても上手い。
読んでいて、ああその気持ちわかる!、と何度思うことか。
ミステリーでデビューされていますが、私が読んだ作品(『スーツケースの半分は』、ビストロ・パ・マルシリーズ、女清掃員探偵キリコシリーズ、『シャルロットの憂鬱』、今読んでいる『ときどき旅に出るカフェ』)たちは、どれもミステリー的要素がありながらも人間描写の方に重きが置かれている気がします。
特に、『スーツケースの半分は』と『ときどき旅に出るカフェ』は、主人公たちの人間模様が作品の軸となっています。
でも、共通していえるのは、これらの作品の登場する人々は、みんな一生懸命生きている、ということです。
見た目は元気で明るく仕事をしていても、その心中はいろんな悩みや不安を抱えていたりして、それでも懸命に前を向こうとしている、そういう人たちをさらりと描くのが、近藤さんは本当にお上手なんです。
きっと、読後になんとなく元気になるような気がするのは、登場人物たちの中に自分と共通の悩みだとか不安だとかを見つけて共感して、作品全体で励まされているような気になるからなんでしょうね。
それぞれの作品は、また改めて紹介していこうと思っています。