理想の家づくり。理想の紙の本づくり。
昨夜、ふいに読み返したくなって『カーサブルータス Casa BRUTUS』のバックナンバーを開きました。
2019年2月号。
『カーサブルータス Casa BRUTUS』はインテリアや建築のことなんかもよく載っているので、たまに気が向いたら買ってます。
この号は「MY HOME 2019 理想の家のつくり方』なんてサブタイトルがあったものだから手に取ったんですけどね。
中に掲載されている写真は、素敵なお家ばかりで、見ているだけで目の保養になるので買っちゃいました。
でも、正直言って記事はあまり真剣に読んでなかったみたいです。
昨夜、パラパラとページをめくっていて気になる記事が。
写真の右ページの右端に、オレンジ色の〇が中央にある白い四角の箱みたいなものがあるんですが、それは「LS50ワイヤレス」という小型スピーカーです。
このページの企画は、この「LS50ワイヤレス」が似合う本棚を、ブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さんがプレゼンする、という内容です。
買ったとき、もしかしたら読んでいたのかもしれませんが、全然記憶に残っていませんでした💦
幅允孝さんのお名前をご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、まずは簡単に紹介しておきます。
【幅允孝(はばよしたか)】
選書家。ブックディレクター。
有限会社BACH代表。
本と人の心(気持ち)を大切に、丁寧につなげるような本屋さんや図書館を作ったり、本にまつわるお仕事をされています。
著書:『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』(晶文社)他……
この方が代表をつとめる会社「BACH」のサイトをのぞいたんですけどね。
どの言葉も、真剣に本に向き合い、本を丁寧に扱おうとする思いやりにあふれているんですが、中でもすごく心が引き付けられる一文がありました。
「人が本屋に来ないのならば、人がいる場所へ本をもっていこう」(有限会社BACHホームページ内の「Concept」より引用)
これは、2005年の創業当時からずっと考えられてきたことだそうですが、この一文を読んだとき、なんだか胸にストンと落ちてきました。
おしゃれな本屋さんや図書館、あるいは本をテーマにした空間は、この頃いろんな場所で目にするようになってきました。
それなのに、出版不況だという。
その理由はいろいろとあって、単純には解決できない状況もあるのでしょうが、「人が本屋に来ないのならば、人がいる場所へ本をもっていこう」という発想。
まさに逆転の発想です。
生の紙の本を手に取り、その世界を旅して感じる「熱」や「温かみ」「パワー」。
それは、作者が作った、編集者が作った「本」だけが持つ力ではなかったのです。
もちろん、ゼロからその世界観を生み出した作者や編集者の力はとんでもなく大きいですが、そうして世に出た「本」を包む周りの空間。
その雰囲気やディスプレイなんかも一緒くたにして、読み手は手に取るのです。
だからこそ、私は本屋さんがすきだったのだ、と、今回改めて気づきました。
やっぱり「本」は素晴らしい。
そして、その「本」を紹介する空間(本屋さんだったり、図書館だったり、はたまたとあるイベント会場だったり)も素晴らしい。
そうしたいくつもの要素が加わり、本単体だけではない「付加価値」を身にまとうことで、いまの「紙の本」は魅力を発揮するのかもしれません。
これこそが、ネット空間での「読書」では決して体験できない、現在の「本」と「本屋さん」の在り方なのかもしれません。
余談ですが、幅允孝さんの『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』というタイトル。すごく惹きつけられます。いつか読んでみたい。