本を愛する、誠実なスタッフが迎えてくれる素敵な古書店
古書店に行ってきた。
ロンドンのチャリング・クロス街84番地にある「マークス社」。
本の知識が豊富で、誠実なスタッフたちが丁寧に本を探してくれる。とても感じの良い古書店です。
お店の入り口は、こんな感じ。
そう。
これは映画のお話。
もともとは小説のお話です。
『チャ―リング・クロス街84番地』
1987年公開。
あらすじはこんな感じです。
舞台は1950年初頭。ニューヨークに住む貧しい女流作家は、イギリスの古書がほしくて探すのですが、ニューヨークのどの店も高く手ごろなものがありません。そこで、新聞広告で見つけたロンドンにある古書店に目を付けます。それが上の写真のマークス社です。
手紙で、ほしい作品を知らせると、古書店のスタッフから返事と共に書籍が送られてきました。安価で、手紙から伝わるスタッフの様子が気に入った主人公は、繰り返しマークス社に本を注文していきます。
物語は、特別な事件が起こるわけでもなく、ハラハラドキドキするところも全くありません。ただ、本好きで古書好きな作家と、本に対する深い知識を持つスタッフとの書簡によるやりとりがあるだけです。でも、本好きならわかる心境や、誠実な人と人との心の交流が見事に表現されていて、見ていて心が温まります。
起伏のない物語なのに飽きずに夢中になって見れたのは、アン・バンクロフトやアンソニー・ホプキンスをはじめ名優たちの見事な演技力のなせる業のおかげだったのかもしれませんが、本好きにはとても魅力的な内容です。
原作はいまは中央公論新社から出ているみたいです。
『チャリング・クロス街84番地』 書物を愛するひとのための本
ヘレーン・ハンフ編著
江藤 淳訳
これを書いていて初めて知ったのですが、どうやらこれ、実話みたいです。
インターネットがなかった時代、ニューヨークとロンドンの遠距離の中で交わされた往復書簡。
いま、この時代だから、なんだか考えるところがあるような気がします。
映画の中で、マークス社は閉店してしまいます。
詳しくは描かれていませんが、社長やスタッフが他界してしまうからというのが大きな理由のようでした。
誠実で素晴らしい書店が店を閉じてしまうのを見るのは、映画の中とはいえ少しつらいです。
ところで、私はオールドムービーが大好きなので、この映画の舞台となった1950年~1970年代くらいあたりの時代設定の映画を見ていると、なんだか癒される気持ちになりました。
本好きには、魅力的な映画でした。
原作も、いつか読んでみたいと思っています。