やさしい気持ちを取り戻せるドラマ
女性、40代を過ぎたあたりから、頭のどこかに「更年期」の三文字が引っかかるようになってくる。
年を追うごとにその文字はよりハッキリと形をなし、ちょっと調子が悪くなってくると、この三文字が心のどこかにひっかかる。
ここ数日、調子が悪い。
といって、具体的な身体の不調があるわけではなく、せいぜい肩こりや全身のだるさといった程度だ。
軽くストレッチをするとすごく楽になるから、運動不足からくるそれだと思う。
一方で、身体の面ではなく、メンタルの面でも不調である。
すぐにイライラしてしまうし、物事をマイナス思考で考えてしまう。
「更年期」に入りかけているのか……と真剣に思っている。
が、実際に入っていたとしてもいなかったとしても、メンタルの面が不調というのは悩ましいことで、必要以上に子供に厳しくしてしまったと気付いたときは、それはもう最悪である。
そんな中、見ると少し気持ちが穏やかになれるドラマを見つけた。
『スイート・マグノリアス』という海外ドラマだ。
舞台はアメリカ南部の田舎町。
そこで育った三人の女性は親友同士。それぞれ、離婚、子育て、仕事、恋愛……と、様々な現実と向き合っている。
これだけ書くと、ありきたりな女性向けの恋愛ドラマのように思えるが、決してそうではない。
一言でいえば「やさしい」のである。
三人の親友たちは、損得勘定など全くなく、ときには厳しく、ときには優しく、自分たちの幸せだけでなく相手の幸せのために、互いを思いやりつつ毎日と向き合っている。
その、生きることに一生懸命な姿を、暑苦しくもなく、押しつけがましくもなく、ただただサラッと軽く描いているドラマだ。
登場人物たちはみんな優しい。
どの登場人物たちも人間的で意地悪い部分はあっても、決して「悪」ではない。
私は、小説もドラマも映画も、基本はサスペンスが好きだ。推理物が好きだ。
だから普段はそういうジャンルを多くみる。
このドラマは、そういうサスペンス的なスパイスは全くないし、「悪」もないけれど、だからこそ見ている方は邪心することなく落ち着いて見られる。
登場人物たちの言葉にも癒される。
子育てや仕事のことなんかに触れる会話は、まるで本を読んでいるようにすぅっと胸に入ってくる。
見終わった後はいつも、なんだか癒された気持ちになれる。
いまはいろいろなことが複雑になってきて、情報も多くて、色んなことを判断しようとするとすごく疲れてしまう。
そうした疲れは少しずつ少しずつたまってきて、見えないところで大きな「負」のかたまりになっていく。
だからこそ、たとえドラマの中といえども、邪推なく、純粋に相手の心に寄り添おうとする気持ちを持つ優しい人々に出会えると、ほっとするのかもしれない。