子育てをしている親の心に、優しい風を吹かせてくれる本を見つけた
母と子。
子と母。
父と子。
子と父。
子育てをしていると、意識していなくてもこの関係は常に頭や心のどこかにあって、そこに自分の理想だとか親と子のお互いの現実だとか、様々な要素がからみあって、ときには悶々としたり、ときには落ち込んだり、ときには幸せをかみしめたり……と、まあ、とにかく、子供を育てているといろんな感情がいつも押し寄せてくる。
先日、家族で本屋さんに行った。
あれこれと迷った上げく、何か感じたものがあったのか、子供が一冊の本を手に取った。
この表紙、見覚えがあった。
そして、タイトルも。
よほど面白かったのか、家に帰るなり読み始めた子供は、サクサクと読み進め、あっという間に読み終えた。
すごく面白かったから、お母さんも読んでみなよ。
そう進められて読んでみた。
どこにでもいる活発だけれど心優しい男子小学生とパートをしている母、そして家族思いの父。
子供はすすんで勉強をするタイプではなく、朝も母に起こされることしばしば。
いつも母に小言を言われてしまう。
そんな少年が、ある日、母親の取扱説明書を作って母を上手に扱おう、なんて思いつき作り始めてみる。
と、これだけ書くとあまり面白みがないように感じてしまうのだけれど、それが全然、とにかく本気でおもしろい!
笑った!
うんうん、とうなずいた。
ほろりとした。
泣いた。
目にこみ上げてくる熱いものをおさえられなかった。
その姿を見ていた子供が、やっぱり泣くと思った、とニヤニヤしていた。
この本の何がいいって、ストーリー全体にユーモアがある。
親の気持ちも子供の気持ちも、丁寧にきちんと描かれていて、どの登場人物たちもきちんと作品世界の中で生きている。
児童書だから、大人の私が読むとあっという間に読めてしまうけど、読んだあと、なんだかとても温かい気持ちになれた。
また、この作家の作品を読んでみたいという気にもなった。
最後のオチも良かった。
オチだからここで書きはしないけれど、すとんと心に落ちて気持ち良かった。
想像通りという人もいるだろうけど、あのオチがとても気に入った!
子育てをしていると、親は本当に色々と迷う。
嬉しいこともあるけれど、楽しいこともあるけれど、毎日が試行錯誤の連続で、悩んだりすることの方が多いかもしれない。
そんな中で、この本は子育てをしている親の心に、優しい風を吹かせてくれる。
子どもと一緒に読んで笑うもよし。
泣くもよし。
子どもが小さいからこそまだ持てる、大人になったら決して味わえない「密の時間」を過ごすにはピッタリの一冊です。