眠れない夜に小川洋子さんと
いまの時刻、3:54。
眠れない。
このところ、夜中に目を覚ましてはしばらく眠れなかったりする。
ベッドで悶々と考えたりするのが嫌で、また、そういう時間がもったいない気がして、今夜は小説を読んでみた。
小川洋子の『偶然の祝福』という文庫本である。
まだ全部は読んでないけれど、おもしろい。
というか、不思議な世界観でまとめられた、捉えどころのない連作短編である。
作家の「私」が経験する「日常」のごく一部を切り取った短編が集まったような作品集なのであるが、そもそも、この中に収録されている『キリコさんの失敗』という短編が読みたくて購入した。
この短編、某学習塾の教材に使われていて、最近は小学生の教材に小川洋子さんが使われるのかと驚いたりした。
小川さんの作品はこれまでにも何度か読んだことがあって、独特の空気感と捉えどころのない世界観が好きなところなのである。
この『偶然の祝福』は、作家の「私」が小川さんなの…なんて、ときどき考えてしまうところもあって、作品世界と現実世界の境界の曖昧さを感じさせるところも読んでいて奇妙で楽しかったりする。
それにしても、眠れない、深夜のひっそりと静まりかえった室内で、薄明かりの中、小説を読むというシチュエーションは私にとっては珍しく、そういう状況が小説本来の世界観とは別のテイストを加えてこの小説の感想として私の記憶として残っていく。
それもまた、小説の楽しみ方なのかもしれない。