暮らしの中の「投資」
年が明けて2022年。
年明けからなんだかいろいろと用事があって気が付けばすでに11日も経っている。
時が過ぎるのは早い。
今年も、どうぞよろしくお願いします。
さて、このところ「投資」について少し考えたりする。
といって、株だとかのお金にまつわる投資のことではない。
きっかけはこの本。
松浦さんのエッセーはたくさん出ているから、読んだことがある方は多いかと思う。私もこれまでに何冊か読んでいて、それらに共通していることは「丁寧な生き方」みたいな「丁寧な暮らし方」みたいな、ことだった。読んでいて共感できる部分が多く、一時期はよく買っていた。
子供が生まれて、興味が育児だとか別の方向に向かってからは、書店で名前をみかけるくらいで手に取ることはなかったのだけれど、先日、雑誌を買うつもりで行った本屋に平積みされているのを見つけて、ついつい手に取ってみた。
タイトルからもわかるように、松浦さんが考える「投資」についてやわからい書き口で書かれている。
そこにはお金の使い方なんかも書かれているけれど、要は、将来の自分への投資としてのお金や時間の使い方、働き方、暮らし方、生き方、なんかがつづられている。
そして私も、いまの暮らし方やお金の使い方、時間の使い方、なんかについてあれこれと考えるようになった。
これまで、「投資」というものに興味はあったし、日々の生活が将来の自分への投資だ、という感覚は少ないけれどあるにはあった。けれど、このことについてじっくり考えてみることはなかった。
そもそも、じっくり考える、という行為そのものを、ここ数年、避けていたように思えてきた。
考えている気になっているだけで、実は深いところまで考えを掘り下げていくことがないから、いつも中途半端で終わっている、ということを改めて実感したりした。
考えるーーーということ。
簡単なようでいて、とても難しい。
考えている「ふり」をしているだけで、実はちゃんと考えていないことが本当に多い気がする。
でも、今回の本をきっかけに、興味あること、大切なこと、必要なこと、などを、とことん考える、ということはとても重要なことであり、それは言葉を変えれば、とことん向き合う、ということに思い当った。
いま、私は子育て真っ最中で、独身のときや、子供がいなかった頃には想像もしなかった出来事に直面したり、これまではわかった気になっていたことも、「育てる」という立場から改めてみると、全然わかっていないことに気づいたりすることも少なくない。
毎日が試行錯誤の連続で、そのときは、正しい、と思って進んだ道が見当はずれの方向だったりする。
子供とはいえ、相手は自分ではない別人格を持っているから、自分の思い通りに考えたり動かないことも多々あるわけで、イライラしたり怒ったりすることも日常だ。
けれど、たとえ相手が子供であっても、真剣に向き合う、ということはとても重要で、その姿勢は言葉にせずとも相手に伝わっていると思う。
昨年から、子育て関連で様々に対峙しなければいけないことがこれまで以上に増えてきて、これまで以上に親も日々勉強だ、と痛感する生活をしている。
そういう時期にこの本と出会ったからこそ、深く胸に入ってきたのかもしれない。
話を投資に戻すけれど、この「投資」ということを考えていて、ずっと迷っていたあるものの購入を見送ることをきっぱり決めた。
先日、マランツのCDレシーバーを購入したと書いたけれど、BOZEのCDプレーヤーが壊れるずっと前から、レコードプレイヤーがほしくてたまらなかった。
レコードの、あの柔らかい音色や、針のパリパリする音が、子供のころから好きだった。当時はほとんど聞かなかったけれど、中学生まで持っていたレコードプレイヤーを捨てなければよかった、といまさらながらに後悔したりするが、もう遅し。
それが数年前からまた欲しくなってきて、何度も買おうと迷いまくって、そのたびに気に入るものを探して、実はどれを購入するかも決まっている。
けれど、レコード一枚にしても、CDを買うより倍以上の値段がするし、プレーヤーも、どうせ買うなら自分が気に入って長く愛用できるものがいいと思い、とびきり高価ではないけれど、初心者でもある程度満足のできる音質をだしてくれるものをと思っている。
けれど、購入までに踏み切れないのは、やはりその値段と、それだけのお金をかけても、これが聞きたい、というアルバムがない、というのが大きな理由である。それでも、レコードが醸し出す音色はやはり捨てがたく、迷いに迷っていたのである。
でもこの本を読んで、いずれは買うことになるかもしれないけれど、いまの自分にとってはその時期ではない、とはっきり感じることができたので、今回の購入は見送ることに決めた。決めると、なんだかスッキリしてほっとしてもいる。
これからしばらくは、数年後の自分への「投資」という意識を持って、日々の暮らしと向き合っていきたいと、心新たに明日に向かっていきたい。